脳卒中とリハビリテーション その21 健常者と患者さんの脳活動
2016/07/08
こんにちは、大阪市西成区天下茶屋の康祐堂鍼灸院です。
前回は、「なぜ機能回復が起こるのか」の中でも神経リハビリテーションついてお話ししました。
今回は「なぜ機能回復が起こるのか」の中でも健常者と患者さんの脳活動についてお話ししていきます。
さて、健常者の左手の運動時には、右脳の一次運動野と左の小脳を中心に脳が活動することがわかっています。手足の運動については反対側の大脳がつかさどっているのですが、運動の細かい調整に関与する小脳は同側支配(右手の運動に関係するのは右の小脳)であるからです。それ以外にも一次運動野のすぐ前にある運動前野とよばれる場所や同様に隣接して後ろにある頭頂葉、脳の内側に存在する補足運動野の活動も見られます。
つぎに脳梗塞から回復した患者さんが、もともと麻痺のあった右手を使って同様の運動をしたときの脳活動はどうでしょうか?先の健常者の例と動かしている手が逆であるところに注意してください。
脳梗塞の患者さんの麻痺から回復した右手の運動時の脳活動で、一見してわかる健常者との大きな違いは、脳の働いている部分が増加していることです。もう少し細かく見てみると本来働くべき左の一次運動野に加えて右の一次運動野も活動しています。また小脳についても両側の活動がみられます。運動前野の活動も両側にみられ、補足運動野の活動も増加しています。
つまり、一見同様の運動をしているようでも麻痺から回復した患者さんでは健常者に比べて動員される神経ネットワークが増加していると考えられます。同様なことは感覚障害の回復過程や、左大脳皮質の損傷によってしばしばみられる失語症とよばれる言語障害の回復過程でもみられることがわかりました。
さらにこのような神経ネットワークの変化は、通常の老化にともなって生じることが知られています。ボタンを押す運動や指折りのような比較的単純な運動時、高齢者では若年者と共通して活動する部位に加えて、若年者ではみられない部位の活動も観察されます。
具体的には両者に共通して、運動している手と反対側の一次運動野・運動前野・補足運動野および同側の小脳に活動がみられますが、高齢者ではこれらに加えて手と同側の一次運動野、反対側小脳などの活動もみられるのです。つまり、高齢者でも同等な運動をおこなう場合、その課題があたかもより難しくなったように、動員される神経ネットワークが増加すると考えることができます。
今回はここまでです。次回は「役割を変える脳細胞」の中でも神経の役割の変化を調べる方法として「経頭蓋磁気刺激法」についてお話ししていきます。
脳梗塞、脳卒中、片麻痺なら大阪市西成区天下茶屋の康祐堂あけぼの漢方鍼灸院
院長 冨田 祥史(山元式新頭針療法 YNSA学会 評議員)
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