脳卒中とリハビリテーション その24 歩行時の脳活動測定
2016/07/15
こんにちは、大阪市西成区天下茶屋の康祐堂鍼灸院です。
前回は、「経頭蓋磁気刺激法」を用いて調べた結果、どのように脳細胞の機能が変化したかについてお話ししました。
今回は「歩行機能回復と脳の変化」の中でも歩行時の脳活動測定についてお話ししていきます。
さて、脳卒中のリハビリテーションのもう一つの重要なターゲットである歩行機能に関して、どのような脳の変化が機能回復と関連するのか考えてみましょう。手の機能に比べて歩行機能はかなり重症な場合でも改善する確率が高いことは先に述べました。それでは、その脳内のメカニズムは手の場合と異なるのでしょうか?
手の機能回復に関連した脳活動を調べるのに用いられるPETやfMRIでは、被験者は装置の中に横たわって安静にしている必要があります。頭部が動くと画像がうまく撮影できないからです。ましてや歩いているときの脳活動を調べることは困難です。
そこで近年、赤外線の波長に属する近赤外線光を用いたスペクトロスコピーという手法を応用して、歩行時のように動きがある状態でもヒトの脳活動をとらえることができる装置(fNIRS)が開発されました。
この装置の原理は近赤外線光が血液中の酸素を運ぶヘモグロビン以外のヒトの生体組織にはほとんど吸収されないという性質を利用しています。
脳の表面(大脳皮質)で脳活動が活発になると血流が増えます。すると新鮮な血液が流れてきて酸素をもったヘモグロビン(酸素化ヘモグロビン)が増え、逆に酸素が消費されたヘモグロビン(脱酸素化ヘモグロビン)が減少するので、そこを測定することで脳の活動をとらえます。専用の帽子をかぶって光ファイバーを頭部に固定するため、身体が動いた状態でも安定して測定ができるのが特徴です。光ファイバーには光を出すものとそれを受けるものとがあり、それらを格子状に並べて、両側のファイバーの間にある大脳皮質活動を多チャンネルでとらえることができます。
健常者の歩行時のヘモグロビン波形ですが、歩行すると酸素化ヘモグロビンが増加しますが、脱酸素化ヘモグロビンはほとんど変化していません。脳の部位ごとに、これらのヘモグロビンの量を調べることで、脳の活動をとらえています。
今回はここまでです。次回は「健常者の歩行時の脳活動」についてお話ししていきます。
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院長 冨田 祥史(山元式新頭針療法 YNSA学会 評議員)
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