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脳卒中とリハビリテーション その29 対称性指数で見る歩行機能の回復

2016/08/01

こんにちは、大阪市西成区天下茶屋の康祐堂鍼灸院です。
 
前回は、「実例でみる歩行機能の回復」について、重度麻痺の患者さんの例をあげてお話ししました。
今回は「対称性指数で見る歩行機能の回復」についてお話ししていきます。
 
さて、前回、前々回紹介した患者さんの脳活動からもわかるように、片麻痺歩行時の脳活動の特徴は、一次運動野の非対称な活動(一次運動野の活動が病変半球で減少)と、運動前野など他の皮質領域が活動することであるといえます。
そして歩行機能が改善したときには一次運動野の活動が対称性になることと、とくに重度麻痺例では病変半球の運動前野の活動が増加することがわかりました。
 
逆にこのような脳活動を起こすようなリハビリテーションをおこなうことによって、さらに機能回復が早まる可能性があります。脳活動を観察することがリハビリテーションの方法の是非を検証する補助的な役割をもつ可能性もあるでしょう。
さらに脳活動の変化と実際の歩行の改善の関係をみるために、一次運動野の活動の左右差を表す指標である脳活動の対称性指数(=〈病変半球の活動ー非病変半球の活動〉÷〈病変半球の活動+非病変半球の活動〉)
と、足の振り出しにかかる時間の左右差を表す指標である歩行の対称性指数(=〈非麻痺足の振り出しにかかる時間ー麻痺足の振り出しにかかる時間〉÷〈非麻痺足の振り出しにかかる時間+麻痺足の振り出しにかかる時間〉)を計算しました。
 
対称性指数は左右が対象であるとゼロになります。脳活動の対称性指数は、プラスのときは病変半球の活動のほうが活発であることを意味し、マイナスになると非病変半球の活動のほうが活発ということになります。歩行の対称性指数は、プラスのときは非麻痺足の振り出しが麻痺足の振り出しよりも時間がかかることを意味し、マイナスになると逆に麻痺足のほうが非麻痺足よりも振り出しが速いことを意味します。
 
ある医療機関で約3ヶ月の入院リハビリテーションの前後で歩行と脳活動の対称性指数の変化を脳卒中患者8例で調べました。この結果、一次運動野活動の対称性の改善は歩行の改善が関連していることが証明されました。歩行が改善して足の振り出しの左右差が改善した患者さんほど、一次運動野の活動の左右差も改善していたわけです。
  
今回はここまでです。次回は「歩行するための脳のしくみ」についてお話ししていきます。
 
脳梗塞、脳卒中、片麻痺なら大阪市西成区天下茶屋の康祐堂あけぼの漢方鍼灸院
院長 冨田 祥史(山元式新頭針療法 YNSA学会 評議員)
〒557-0014 大阪市西成区天下茶屋2-21-10
TEL&FAX 06-6659-0207 Email: mail@ynsa-japan.com

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