レビー小体病としてのパーキンソン病について 大阪市西成区天下茶屋の康祐堂鍼灸院
2016/02/05
多くのPD症例で遂行機能障害や注意障害そして視空間認知障害を中心とした認知機能障害が、比較的病初期からみられることがわかってきました。これらはPDの進行とともに次第に増悪し、さらに病期が進むと病初期には比較的保たれている記憶や言語機能の障害がこれらにしばしば加わり、日常生活に支障をきたすレベルにまで達すると認知症を伴うPDと呼ばれる状態に至ります。 これまでに報告されてきた横断研究では、PD全体の20~40%程度の症例がPDDであるとされていますが、さらにいくつかの縦断研究によりPDからPDDへの進展は平均10年程度で起こり、20年程度の調査期間においておよそ8割がPDDに移行すると報告されています。このように、PDにおける認知機能障害の併存はきわめて高頻度であると考えられていますが、最近、PDDが注目されてきた背景として、運動機能障害についてはドパミン補充療法を中心とした薬物治療が導入され十分とはいえないまでもコントロールができるようになってきたこと、また人口の高齢化に伴って以前よりも高齢発症のPD症例が増えたことが考えられています。 PDDの中核的な認知機能障害は、実はレビー小体認知症(DLB:大脳皮質の神経細胞に生じた異常なタンパク質の封入体であるレビー小体によって引き起こされる認知症で、アルツハイマー型認知症や血管性認知症と異なり幻覚が起こることが特徴である)の認知機能障害の中核をなす症候もと一致しています。DLBの場合、運動機能障害は同時、またやや先行して生じる場合もありますが、DLB患者の25~50%ではパーキンソンニズムは必ずしも合併しないとされています。しかし、臨床経過の情報なしに、剖検脳における病理像の上からのみでPDDとDBLを区別することは不可能であり、両者の病理学的背景はきわめて似通っていることが知られています。実際問題として、両者を区別するのはその臨床経過しかありません。すなわち、パーキンソンニズムが発症し、その後に認知機能障害が加わっていく経過を示すPDDであり、その逆に認知機能障害で発症するのがDBLです。 研究目的等でPDDとDBLを厳密に区別する必要がある場合は、運動機能障害が認知機能障害に1年を越えて先行する場合をPDD、そうでない場合はDBLと分類されます。これは“1year rule”と呼ばれてますが、明らかに人為的な区分であり、このことはすなわち両者の厳密な鑑別は不可能であり、両者の違いとは同じ障害スペクトラムを示す疾患の中での障害パターンの濃淡の違いであるに過ぎないことを示唆しています。こうしたことから、両者を総称して“Lewy body dementia”、あるいはPDも加えて“レビー小体病(Lewy body disease)”として捉える考え方が次第に主流となっています。 DBLはPDDのおよそ10倍の有病率であるとされています。このように考えると、レビー小体を特徴とする病理変化が嗅球から辺縁系に拡がるときに嗅覚障害や認知機能障害が出現し、脳幹を中心として拡がるときに古典的に捉えてきた運動症状を中心としたPDの症候が完成すると考えることができるかもしれません。レビー小体病がなぜこのような特徴的な分布を示して拡がるのか、そのメカニズムはPDの病態に迫る上で大きな手がかりを与えてくれるように思われます。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
大阪で脳梗塞・パーキンソン病・自律神経失調症なら西成区天下茶屋の康祐堂あけぼの漢方鍼灸院
電話:06-6659-0207 FAX:06-6659-5858
557-0014 大阪府大阪市西成区天下茶屋
mailto:mail@ynsa-japan.com
ご予約・お問い合わせ
必ずあなたのお悩みの症状を最短期間で改善することをお約束いたします。