パーキンソン病⑦西洋医学的治療(薬物療法)
2022/06/14
パーキンソン病の治療には下記3種類の方法があります。
・薬物療法
・手術
・リハビリテーション
ここでは薬物療法について説明します。
薬物療法では主に下記の治療薬が使用されます。
・L-ドパ
エルドパ、レポドパなどと呼ばれ、パーキンソン病治療の柱となる飲み薬です。脳内でドパミンに変化し、不足しているドパミンを補充する薬です。
・ドパミン受容体作動薬
脳内でドパミンを受け取る側(受容体)に刺激を与えて、ドパミンが出たのと同じ状態にする薬です。効果が長く持続するのが特徴です。日本のガイドラインでは70歳未満で認知症を発症していない場合、特に症状の早期改善が必要ない場合にはドパミン受容体作動薬から開始する治療法が推奨されています。飲み薬の他に24時間効果が持続する貼り薬もあります。
・MAO-B阻害薬
マオビー阻害薬と呼ばれ、ドパミンの効き目を長くする役割を果たします。
・COMT阻害薬
コムト阻害薬と呼ばれ、L-ドパが効率よく脳に届くようにします。
・アデノシン受容体拮抗薬
アデノシンはドパミンとバランスをとって作用している神経伝達物質の一つです。パーキンソン病ではドパミンの作用が弱くなるため、相対的にアデノシンの作用がつよくなり、神経のバランスが崩れさまざまな症状が出てきます。アデノシン受容体拮抗薬は、アデノシンとドパミンのバランスを調整して症状を改善します。
・抗コリン薬
ドパミンと同じ神経伝達物質にアセチルコリンがあります、ドパミンとアセチルコリンはうまくバランスを取りながら脳内で働いていますがパーキンソン病ではこのバランスが崩れさまざまな症状が出てきます。抗コリン薬はアセチルコリンとドパミンのバランスを保ちます。
・ドパミン放出促進薬
ドパミンを出す神経細胞を刺激して、ドパミンが出るのを促す薬です。使用されずに残ったドパミンを回収して再利用できるようにする働きもあります。
・L-ドパ賦活薬
体内でドパミンが作られるのを促進したり、ドパミンの効果をなくしてしまう成分を排除することにより、脳内のドパミンを増やします。
・ノルアドレナリン補充薬
ノルアドレナリンはドパミンとおなじ神経伝達物質で、ノルアドレナリンの不足によっても、パーキンソン病の症状が出やすくなるためノルアドレナリンを補充するために使われます。
パーキンソン病の治療はドーパミンを補う作用のあるL-ドパ、ドパミン受容体動作薬という薬が中心となっています。L-ドパは40年近く使用され、薬の改良はされてきてはいるものの、長期間の服用となるため、その副作用が問題となってきています。L-ドパは服用を続けていると効く時間が短くなり、特に妄想や幻覚といった精神症状、頭や首や手足が意思と無関係にクネクネ動く「不随意運動」などの副作用が患者さんにとって大きな問題となっております。
お薬を飲み始めた時にみられる副作用
パーキンソン病のお薬を飲み始めた時に起こりやすい副作用です。
・胃腸の症状
吐き気や食欲不振、便秘などの症状があらわれることがあります。症状によって吐き気ドメや便秘薬での対処が可能です。
・眠気
お薬によって眠気が出たり、突然寝てしまう副作用があります。
・立ちくらみ
立ちくらみが副作用として現れることがあります。立ち上がる時はゆっくり立ち上がることを心がけてください、症状が強い場合には立ちくらみを防ぐお薬が処方される場合もあります。
長期間お薬を飲み続けた時に見られやすい副作用
パーキンソン病のお薬を長期間継続していると、特有の副作用があらわれることがあります。(※お薬を飲み始めた時に現れる場合もあります)
・幻覚
パーキンソン病では病気やお薬によって幻覚を見ることがあります、お薬の種類を変更したり、量を減らしたりすることで収まる場合もあります。
・むくみ
足にむくみが出ることがあります。お薬の種類を変更するなどの対処をする場合があります。
・ドパミン調節異常症候群
お薬の浮く作用で衝動的な買い物をしたり、ギャンブルに依存したり、性行動が抑えられなくなるなどの症状があらわれることがあります。お薬の量や種類を変更することで症状を抑えられる場合もあります。
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