パーキンソン病⑨(リハビリテーション)
2022/07/01
パーキンソン病はリハビリテーションをきちんと行うことで、体力の低下を防ぐことができ、さらには筋肉や関節を柔らかくすることで身体の可動域を広げます。さらにはストレッチやリラックスにより全身の動きがスムーズになり筋固縮の症状が軽減します。発症から長い年月が経過していても移動や食事、入浴など日常生活動作で介助を必要とすることが少なくなることが期待できます。また日中横にならないだけでも薬の効果がはっきりあらわれ薬が効いているオン時間も伸びると言われています。運動は薬とセットにすることで互いの効果を高めます。
パーキンソン病のリハビリ方法には6種類あります。
・リラクゼーション
・ストレッチ、柔軟
・筋力強化運動
・生活動作練習
・構音、嚥下練習
・歩行訓練
・リラクゼーション
リラクゼーションとは肉体的、精神的な緊張をほぐし、リラックスさせる行為で患者様自身には解消できない筋肉のこわばり、筋固縮の軽減を目的として行われます。
パーキンソン病に対して行われるアプローチには次のようなものが挙げられます。
・仰向けもしくは背もたれに寄りかかり楽な姿勢を取る
・介助をうけながら手首や足、体幹などの屈伸運動を行う。
・一定のリズムで揺らしてもらう
上記のように胴体の運動が非常に重要でありリラクゼーションに行うことにより筋固縮が徐々に軽減されていきます。
・ストレッチ・柔軟
ストレッチや柔軟体操により体の柔軟性を高め、筋肉を伸ばします。運動前に行われるストレッチにも似ており、1回あたり20秒間のストレッチを2〜3セット行うのが効果的です。
ストレッチでは肩と腕を動かすことが重要であり、首や体幹をねじる、もしくは伸ばすストレッチやももの裏をゆっくりと十分に伸ばすストレッチが重点的に行われます。十分なストレッチを行うことで体の柔軟性が高まり、少しずつ体を動かしやすくなります。
・筋力強化運動
筋力を強化する運動(筋力強化運動)により、弱ってしまった部分の筋力トレーニングを行います。筋力トレーニングの内容としては、患者一人一人に合った自重トレーニングやウェイトトレーニングなどが挙げられます。
特に重視されている部分は足の付け根(大腰筋)とももの筋肉(大腿四頭筋)です。
また、お腹の奥の筋肉(腹横筋)や背筋、おしりの筋肉(大臀筋)のトレーニングを行うことで前傾姿勢を予防にもつながります。
・生活動作練習
パーキンソン病を発症すると、筋肉のこわばりにより着替えや身だしなみ、食事、排せつ、入浴などの生活動作が難しくなります。
リハビリでは、動作に支障のある部分や症状に合わせた練習を行うことが大切です。患者の状態に応じて、ばね付きの箸などの自助具を用いることもあります。
動作緩慢の症状により、書く字が小さくなってしまう場合は罫線やマスなどを利用して大きな字を書く練習を行うこともあります。字を書くときは、一文字一文字を声に出し、文字の大きさを意識すると良いでしょう。
・構音・嚥下練習
構音障害とは、ことばを正確に発音することができなくなる、もしくは他の語音に置きかわってしまう障害で、無動(動作緩慢)や筋固縮により生じる症状の一つです。筋固縮が原因で、声が小さい・抑揚が乏しいなどの症状がみられることもあります。
また嚥下障害とは、食べ物を上手に呑み込めない状態のことです。筋固縮により嚥下障害を起こすと、むせやすくなり食事をとることが難しくなります。そのため、嚥下障害が引き起こされると食事の時間の楽しさが奪われてしまいます。
構音・嚥下障害に対するリハビリは次の通りです。
呼吸筋の強化運動
構音練習
嚥下検査・嚥下訓練
上に挙げた方法の他に、発声練習も構音・嚥下障害のリハビリとして有効です。発声練習では、語尾をはっきりとさせ、大きな声を出すことが大切です。発声を行うときは、まず呼吸をしながら胸を広げます。その後、背中を伸ばして大きく息を吐くと同時に声を出します。この一連の動作は、構音・嚥下練習のみならず前傾姿勢の予防・改善にもつながります。
・歩行訓練
パーキンソン病で見られる歩行障害には次のような特徴があります。
すくみ足
突進(加速)歩行:歩いているうちに加速し、止められなくなる
小刻み歩行:歩くときの歩幅が狭くなる
上に述べた症状を予防するためには、しっかりと体を起こし、一歩一歩を大きく踏み出すこと、そしてかかとからしっかりと地面を踏むことを意識することが大切です。
リハビリでは、メトロノームや声掛けなどを利用し、リズミカルに歩く練習を行います。
歩幅に合わせ、床に一定間隔で線を引いておくと歩きやすくなることもあります。
ご予約・お問い合わせ
必ずあなたのお悩みの症状を最短期間で改善することをお約束いたします。