脳卒中とリハビリテーション その42 入院中のからだとこころの変化
2016/09/29
こんにちは、大阪市西成区天下茶屋の康祐堂鍼灸院です。
前回は、「脳を考えたリハビリテーションの例」というテーマでお話ししました。
今回は、「入院中のからだと心の変化」というテーマでお話ししていきます。
さて、ある日突然、心の準備もなく長年連れ添ったからだが豹変してしまったわけですから、そのからだを受け入れづらかったり、気分が落ち込んだりすることは当然でしょう。受容する時間も体力もなく、新しいからだに慣れていかなければいけない。がんばる心と変化するからだとのミスマッチ。リハビリテーションへの意欲が向上する嬉しいこともあれば、つらいと感じてしまうこともやはりあるのです。
理想は日ごとに雪解けのように動かなかった手や足が徐々に動き始めること、出なかった言葉が出始めることでしょう。それは喪失からの再獲得なので、なによりの喜びとして感じられます。
しかし、脳卒中で引き起こされた麻痺はぐんぐん天井なく回復していくものでもありません。本人の思い描く像とギャップがある場合は、せっかくのこの変化も喜びとしては感じられず、ときに変化に気づくことすらない場合もあります。そうなると、不安や焦りとなり、さらに悲観的になってくると、脳の回復には悪循環なのです。
原因は一様ではないですが、脳卒中後にうつ状態になる患者さんは30から40%くらいいると様々な論文で報告されています。うつ状態では脳のなかで神経の命令を伝える働きをする神経伝達物質の放出が減り、そのせいで運動機能の回復も本来より悪くなるという報告もあります。
つまりうつ状態を改善していくことは、患者さんの心の負担を軽くするためにも運動機能をよくするためにも大変重要です。脳卒中にたずさわる医師のみならず、すべてのスタッフが患者さんの心理状態を理解し、よくしようと努力することが重要です。
具体的には医療側は患者さんの訴えを聴き、話し合いながら一歩一歩の現実的なゴールを決めてリハビリテーションをおこなっていく必要があります。日々の心の変化もくわしく観察し、一人ひとりに合った接し方をそのつど話し合っていきます。また日々の家族による精神的サポートは、かけがえのない大切なものです。発症したその日から患者さんだけでなく家族も一緒に悩み考えていく期間であるといっても過言ではないでしょう。
また、リハビリテーションとは社会の復帰を始める時期でもあります。家族やペット、職場やコミュニティーとの関わりなども、本人を見守り支えていくようなプラスの存在であることが大切です。
なお、抗うつ薬や脳機能を活発化させる薬剤は運動機能の回復を促進するという結果が、動物実験およびヒトの脳卒中でもいくつか報告されています。これらも神経伝達物質を介して脳に効いている可能性が高いと考えられます。これらの薬を十便適応を考えながらトライしていくのもこれからの神経リハビリテーションの課題です。
今回はここまでです。次回は「リハビリテーション病棟の取り組み」というテーマでお話ししていきます。
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院長 冨田 祥史(山元式新頭針療法 YNSA学会 評議員)
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