パーキンソン病のBraak仮説と臨床症状のクラスター分析について 大阪市西成区天下茶屋の康祐堂鍼灸院
2016/02/04
パーキンソン病の症候のクラスター分析の結果、運動機能障害の重症度と対極的な位置に認知機能・嗅覚のクラスターが存在することは興味深いと思われます。最近の検討から、嗅覚障害は短期記憶と密接に関連し、視覚認知を含む全般的な認知機能障害とも関連することを示しました。Braak仮説では高次嗅覚野の病理変化が目立ってくるのはステージ5~6の病態末期になってからとされていますが、それに対する反証もいくつか報告されています。連続剖検脳を用いた最近の研究によると、全体の51%はBraak仮説に一致した分布(脳幹から上行性に病理変化が拡がるという仮説に一致したパターン)を示しましたが、29%の症例では脳幹病変が存在しないにも関わらず扁桃体を中心とした病理分布を認めたとされています。また、嗅球にαーsynucleinの蓄積を認めた症例のほとんどで扁桃体にも病理変化を認めることも示されています。 こうしたことからも、脳幹病変とはある程度独立して嗅覚関連脳領域の病理変化が生じる可能性が考えられています。すなわち、Braak仮説によるとPDは迷走神経背側核から病理変化が始まり、その後脳幹を上行するなかで自律神経症状や睡眠障害、抑うつといった非運動症候を生じ、その後黒質に達して運動機能障害を生じるとされていますが、もう1つ、嗅球から扁桃体を含む辺縁系を中心とした障害ドメインが存在し、その結果として嗅覚障害とともに認知・情動機能障害が生じてくる可能性を最近の研究結果は強く示唆していると思われます。実際ごく最近、われわれは重度の嗅覚障害のあるPD症例のおよそ4割が3年以内に認知症を併発した一方で、嗅覚障害が中等度以下であった症例からは認知症の移行例が一例も見られなかったことを見いだしています、
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